食卓でできる地球温暖化?対策  食糧不足・水不足同時解消
地球温暖化の原因が二酸化炭素であると言う主張は大変疑わしいものがあるが、
ここではあえてそれを肯定した上で、環境問題を考えて見たいと思う。
実は温室効果ガス排出を大幅に消滅する方法が食卓にある。それは食事から肉を
無くすということである。
先般、国連の食糧農業機関(FAO)が発表したレポートによると、畜産業全体から排出
される温室効果ガスは世界全体から人為的に排出される温室効果ガスの約18%に当
たり、自動車や航空機などの全ての交通手段によるものを上回り、EU全体からの排出量
をも超えている。
その大きな排出源が、牛、山羊、羊などの反すう動物による“メタンガス”である。
“メタンガス”は二酸化炭素の21~25倍になる強力な温室効果があり、その発生のメカ
ニズムは、牛が食べた穀物や牧草が胃の中の微生物によって消化され、“メタンガス”が
生じ、「ゲップ」や「オナラ」として空気中にはき出される。
たかだか「ゲップ」や「オナラ」と思われるかもしれないが、例えば1頭の牛が排出する
“メタンガス”は年間80~110kg、世界には12億頭の牛がいるので、世界中の牛が排出
する“メタンガス”の量は約1億tとなり、これを二酸化炭素に換算すると21~25億t分の
温室効果を発生していることになる。(※二酸化炭素の年間増加量は約40億t)畜産は
二酸化炭素の排出という点でも大きな問題をかかえている。
肉の生産、食肉処理、冷凍保存、輸送にはぼう大なエネルギーが必要であり、その過程
で排出される二酸化炭素も計り知れない量となる。
更に、それが外国産の肉となると輸送において一層エネルギーの消費増大となる。
肉のために破壊されている熱帯雨林による二酸化炭素排出も深刻である。とりわけ
南米における森林破壊は、畜産業の拡大が主要原因で、例えばアマゾンでは破壊さ
れた熱帯雨林の70%が放牧地と家畜のエサのための穀物栽培の土地となっいる。
熱帯雨林であれば、空気中から二酸化炭素を吸収し、酸素を放出しているが土地開拓
のために木が燃やされると、熱帯雨林の二酸化炭素吸収力が弱まるばかりか、木に
蓄積されていた炭素が全て放出される。度を超えた放牧が地球の全牧草地の1/5を
砂漠化させたという統計もある。
2050年に人口が100億人に達するとされているが、1999年の時点で2億2900万t
だった肉の世界産出量が、2050年にはその倍以上の4億6500万tになると予側される。
その消費量の増大にともなって発生する“メタンガス”や二酸化炭素によって地球温暖
化を益々悪化させることは間違いない。

“メタンガス”に注目!!


メディアに乗るニュースは二酸化炭素に関するものがほとんどだ。
もちろん、二酸化炭素を削減することは重要であるが、たとえ、二酸化炭素の排出量が
ゼロになっても気温上昇は止まらない。それは二酸化炭素が100年以上大気中に留まる
からである。従って今日二酸化炭素の排出が完全にストップしたとしても、昨日までに排出
した二酸化炭素は100年後まで温室効果をもたらしてしまう。又、今後有効な「自然エネルギー」
が開発されたとしてもそれを利用するためのインフラが整うまでに数十年を要するであろう
から、ある意味手遅れとも言える。
一方“メタンガス”が大気中に留まる期間はおよそ10年間である。そのため削減効果も短期間
で効果を出すことができる。又、人為的に排出される二酸化炭素が自然界の3%にすぎず、
人間がコントロールしたとしてもすぐさま大きな効果をもたらさないのに対し、人為的に放出さ
れるメタンガスは自然界から放出される1.5倍にも及んでいるため、削減のいかんが人間の手
にゆだねられている割合が圧倒的に大きいのである。更に二酸化炭素の21~25倍の温室効果
があるということは、1kgの“メタンガス”の削減が21~25kgの二酸化炭素削減に匹敵するとい
うことであり、二酸化炭素削減よりもはるかに効率がよいことから考えると、地球を冷やす効果
は早く、大きなもになる。
地球温暖化を人類の力でコントロールできるのは恐らくここ10年であり、温暖化を効果的に緩和
するには、もっと“メタンガス”に注目すべきである。
毎日の食卓から肉を少なくすることは、その最適な方法と言うことができよう。


悪気のない大量殺人  

1kgの肉を作るためには約16kgの穀物をエサとして必要とするため、「16kgのごはんを捨てて
1kgの肉を食べている」と言い換えることができる。そのため、すべての農地の70%が畜産用と
して使われており、それは地球上の陸地の30%にも相当する。
例えばアメリカで作られているトウモロコシの20%は人間用だが、残りは動物が食べていること
になる。肉を食べることは、穀物を非効率な方法で大量消費しているのである。
現在の世界人口は約65億人であるが、地球上の全ての人がカロリーの25%を動物性にすると
栄養が満たされるのは32億人。15%にすると42億人、もし全員がベジタリアンになったら地球上
から“飢餓”が消滅すると言われている。先進国の人たちが肉を食べれば食べるほど、飢える人
が多くなる構図となっている。その結果、今も8億4000万人が飢え、年間2000万人が栄養不良で
亡くなっている。2~3秒に1人の子どもが栄養不足で命を落としているのが現実である。
畜産業は大量の水も必要とする。ユネスコによると1kgの骨なしの牛肉を作るには155ℓの飲料水
が必要であり、1個のハンバーガーを作るためには2400ℓの水が使われているという。
肉を全く食べない食事であれば1日約1100ℓの水で済むが、肉中心の食事だと15000ℓの水が必要
となる。
肉好きには辛い選択となるが、できる限り肉を食べないことが、地球温暖化を緩和させる最も端的
な方法であり、同時に多くの人々を“飢餓”と“水不足”から開放することとなるのである。
こうした“メタンガス”ですらエネルギーに換えてしまう技術が開発されれば美味しい霜降りのカルビ
を思う存分味わうことができるのだが・・・・・・・それまではイミテーションミート(肉)や米を使ったパン、
ラーメン、パスタなどで我慢しようではないか。