21世紀は『アジアの時代』と言われて久しい。しかし、今日観光で訪れるアジア各国も
都市部を除いては、数十年前と何ら変わるところがない。
日本人は「貧困」と言えば、すぐに「アフリカ」を思い浮かべてしまうが、あらゆるデ―ター
を分析する時、われわれの隣人であるアジア各国においても大きく変わるものではない。又、
アジア各国とも都市部においては、国の威信を示さんとばかりに、高層ビルが林立し、年収の
何十倍もする車であふれかえっており、表面上の発展を装ってはいるものの、一歩裏通りに入
れば、わが国の戦後の荒廃を垣間見る光景を目のあたりにする。アンバランスな発展は貧富の
差を益々拡大させ、数多くのストリートチルドレンの姿を見かけることとなるのである。
ところで、日本が戦後短期間に復興をはたし、経済大国と成り得た最大の要因はもともと
学校教育」が整備され、多くの国民が読み・書き・そろばんが出来ていたことにあると言わ
れている。『教育』が「貧困」と決別する最高の手段であることが、証明されたのである。
しかしながら、戦後日本は、経済的富の蓄積のみを至上命題とし、経済的繁栄を第一義とした
ため、物質的には世界に例を見ない程の大成功をおさめたものの、今日起こる様々な事件を見
る時、人心は荒廃し、多くの社会的問題を抱え、資本主義経済システムも疲弊し、「病める国」
の先進国と成り果ててしまった。
さて、最近のアジア諸国はこうした日本の復興期に似ており、それゆえ是非とも前述の様なわ
が国の失 敗を繰り返してほしくないと思う。又、アジア各国は武力政権や国内の内紛などによ
り、治安の安定を欠き、インフラの整備も遅れているため、自力で教育環境を整えるまでに手
が回らないのが実状であろう。
先般、国連人口部が発表した「補充移民」と題するレポートでは、日本は急激な少子高齢化によ
り、今の経済レベルを維持させるためには、向こう50年間にわたって、毎年106万人合計
5300万人の移民を受け入れなければならないという驚くべきシュミレーションが発表された。
いずれにしても、日本は隣人たちの力を借りなければやっていけない時が、もう目の前に来てい
るのである。
現在わが日本も未曾有の不況下にあるものの、隣人たちの役に立つ余力はまだまだ残っているは
ずである。何も見返り求めるものではない。だが、「情けは人の為ならず」のたとえ通り、日本
国民一人ひとりが、出来ることをしようではないか。そのことが「アジアの子どもたちに輝ける
未来を・・・」提供し、生命を大切に育み、戦争と貧困をこの世から根絶することにつながれば
至上の喜びである。
尚、より広範な方々からの支援を頂くにあたり、特定非営利活動法人格の取得を最善と考え、
今回の申請に至ったものである。
日本INGO 理事長 島津真尚